■開催日時:2014年7月13日(日) 13:30~17:00

■会 場:北海学園大学 豊平キャンパス 7号館 D31教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地 下鉄東豊線「学園前」駅にて下車。3番出口直結)

■研究会(13:30~16:15)

(1)宇仁義和さん(東京農業大学)
「地元目線でたどるロミン・ヒッチコックの旅程と写真の解読」
 ロミン・ヒッチコック Romyn Hitchcock は明治中頃の1888年に北海道や色丹島を訪れ民族調査を行った。スミソニアン協会の雑誌に発表された報告は『アイヌ人とその文化』として邦訳されている。本論は国立人類 学アーカイブ保存のプリント写真とコーネル大学保存の調査日誌から、ヒッチコックの旅程をたどり、撮影場所の特定を試みる。会場ではオリ ジナルプリントを投影し、判読可能な事象を議論したい。

(2)沖野慎二さん(東海大学)
「『生命科学者』がアイヌ研究に『色目をつかう』とき」
 明治・大正期の多くの「生命科学者」は日本人起源論争(=アイヌ研究)に関心を持ったが、論争が下火になって間もなく、当時論争に不参 加だった動物学者・八田三郎が後にアイヌ研究の先鞭をつけた。彼は一体なぜアイヌ研究を始めるに至ったのか。本研究では八田および同時期 の他の動物学者たちが刊行した動物学教科書を読み解き、比較検討することで、その理由を検証するものである。

<休憩 14:45~15:00>

(3)?田信吾さん(総合地球環境学研究所プロジェクト研究員/インディアナ大学人類学部外来研究員)
「環北太平洋におけるニシン歴史生態学-トリンギットとアイヌを例として―」
 環北太平洋の先住諸民族の沿岸海洋資源といえば、まずサケそして海獣哺乳類が挙げられる。しかしニシンも北米北西海岸の文化史において 密接かつ重要な役割を果たしてきた。一方、北海道でニシンといえば場所請負制度下で発展したニシン漁、そして明治時代に資本化された漁業 の大規模化が浮かぶ。しかし、これら中近世以前のニシン資源利用について議論がされることは少ない。本発表では、考古学や歴史学、そして 民族学など様々な分野からの資料を用いて、環北太平洋におけるニシンの重要性を長期的視点で考える。

(4)松井佳祐さん(札幌学院大学科目等履修生)
「ひばりヶ丘公園における河童のうわさの予備的調査報告」
 発表者は、以前沼田町内の弁天公園内池における河童のうわさについて調査・報告した。今回は、その調査時に情報を得た、同じく沼田町内 のひばりヶ丘公園の河童のうわさについて、現在までの予備的調査の内容を報告し、今後の見通しを示す。現在のところ、ひばりヶ丘公園の立 地と環境、弁天公園のうわさとの関係性からみて、このうわさの広がりは限定的なものと考えている。

■開催日時:2013年10月26日(土)15:30~17:15 / 27日(日)10:00~11:45

■会 場:道立北方民 族博物館 講堂 (網走市字潮見309-1)

■特 集 「北の人と暮し」

■研究会1日目  10月26日(15:30~17:15)

15:30~16:00

(1)宇仁義和さん(東京農業大学)
「NHKアーカイブスの保存映像に見るアイヌと樺太先住民、そして捕鯨」
 公募研究「NHKアーカイブス学術利用トライアル研究」により、NHKが保存する未公開映像を閲覧した。アイヌは戦前の映像、斜里沖でのア ザラシやクジラの銛猟の再現、鯨祭りなどが見られ、樺太先住民は昭和9年(1934)の映画「北進日本」にオタスの様子が描かれていた。また 捕鯨では報道姿勢の変容や話者の態度など、文章からは知り得ない情報を得ることが可能であった。当日は保存映像の静止画像に加え、データベー ス検索の結果を紹介する。

16:00~16:30

(2)矢崎春菜さん(北海道大学大学院文学研究科)
「河童伝承からみるアイヌ語「ミントゥチ」と日本語「ミヅチ」の関係性」
 アイヌの口承文芸には、「ミントゥチ」と呼ばれる「河童」が登場する。この「ミントゥチ」という名称は、東北地方で河童を意味する「ミヅ チ」系の名称がアイヌ語に借用されたものと考えられている。本発表では、この「ミントゥチ」と「ミヅチ」の関係について、アイヌの河童伝承に みられる「河童」たちの名称や特徴に注目しながら、日本(和人)との類似性がみられる伝承とアイヌの独特な伝承があることを確認するととも に、そこにみられる類似性の相違から、どのような借用の可能性があるのかを考察していく

<休憩 16:30~16:45>

16:45~17:15

(3)小西信義さん(北海道大学大学院文学研究科)
「除雪具―雪かき(ジョンバ)―の道内での適応性とその製作過程」
 昭和40年代までの代表的な除雪具として、竹製の雪かき(ジョンバ)が挙げられる。氏家(1989)によると、ジョンバは主に玄関先の親雪 を簡易的に払う目的で使用され、道内乾雪の除雪に適した道具だと言われている。
 本発表では、積雪統計資料を用い、改めてジョンバの適応性について考察する。また、プラスチック製ジョンバが普及している現在、竹製ジョン バの製作過程を記録に留めるため、旭川在住の籠職人への聞き取り調査も行った。

■研究会1日目終了後、懇親会を予定しています。

☆ 懇親会 18:15~20:00
   会 場:温泉旅館もとよし
   会 費:5千円

*参加ご希望の方は10月19日(土)までに北方民族博物館・山田さんへお申し込みください:
   yamada☆hoppohm.org (☆を@に変えてください) 
   電話 0152-45-3888 FAX0152-45-3889

*研究会終了後、博物館から懇親会場まで送迎バスがあります。

*懇親会場の旅館に宿泊ご希望の方も同上・山田さんにお問い合わせ・お申し込みください。懇親会費込み(朝食付き)で1泊1万円です。ただし 男女別の相部屋となります。人数に限りがありますのでお早めに。

■研究会2日目  10月27日(10:00~11:45)

10:00~10:30

(4)田村将人さん(札幌大学)
「樺太アイヌの竪穴住居利用について―岡正雄・馬場脩の調査写真を中心に」
 20世紀初頭まで樺太アイヌは冬季に竪穴住居を利用したことが知られている。これまでの情報源は、主に絵画や民族誌などであったが、北海道 立北方民族博物館所蔵の岡正雄・馬場脩の調査写真や、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構所蔵の石田収蔵旧蔵写真などから、再検証を行 いたい。

10:30~11:00

(5)中田篤さん(北海道立北方民族博物館)
「あるオプシーナの挑戦―サハ共和国の事例より」
 社会主義時代に農業を中心とした生産活動を担ってきた集団農場・国営農場は、ソ連崩壊後の新たな社会・経済体制の下でさまざまな経営形態に 移行・再編された。本発表では、おもにサハ共和国における調査から、ソ連崩壊後に新しく創出された経営形態の一つであるオプシーナ(氏族経営 体)の1つを対象に、その成立と発展、現状を概観し、先住民が伝統的な生業活動を保持しつつ、ロシアの社会経済的環境に適応していこうとする 事例について報告する。

<休憩 11:00~11:15>

11:15~11:45

(6)山田祥子さん(北海道立北方民族博物館)
「ウイルタの暮しとことば―サハリンにおける言語の伝承と変容」
 サハリン(樺太)の先住民族ウイルタは現在、総人口 300?400 人とみられ、その多くがサハリン中部のポロナイスク市(かつての敷香)と北東部のワール村に居住している。本発表では、ウイルタ固有の言語であるウイルタ語の伝承と変容に 焦点を置き、サハリンのロシア社会のなかでウイルタの文化がどのように受け継がれているのかということについて、ウイルタ語の記述的研究と現 地調査での見聞にもとづく報告を行う。

■ 講 座 民族学と考古学学問の系譜 

日 時:2013 年10月26日(土) 13:30-15:00
会 場:北方民族博物館講堂
講 師:岡田淳子道立北方民族博物館館長(北海道民族学会顧問)
参 加:無料
主 催:道立北方民族博物館
後 援:北海道民族学会

■開催日時:2013年7月7日(日)13:30~17:00

■会 場:北海学園大学 豊平キャンパス 7号館 D31教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地下鉄東豊線「学園前」駅にて下車。 3番出口直結)
   *今回の会場は北海道大学ではありません。ご注意ください。

■研究会(13:30~16:15)

(1)門田昌大さん(北海道大学大学院文学研究科 修士課程1年)
「民俗芸能の変容の諸層―北海道平取町におけるアイヌ古式舞踊を通して―」
 本発表では歴史的な映像資料を基に、北海道沙流郡平取町で行われているアイヌ古式舞踊の身体部位ごとの動きを追っていく。それにより、現在 までの民俗芸能研究が捉えきれなかった民俗芸能の変容の諸層を見出し、研究方法の再検討を行う。その際、研究者が民俗芸能の動きを舞踊譜に図 示することの意味、また映像資料の研究における意味を捉え直していく。加えて今回の調査に当たり、平取町古式舞踊に関する映像資料のインデッ クスを作り参照できるようにした。

(2)小坂みゆきさん(北海道大学大学院文学研究科 専門研究員)
「朝鮮族の婚姻儀礼にみられる変化とその要因-中国吉林市の事例から-」
 朝鮮族は、中国の少数民族の総人口の1%を占め、朝鮮半島から中国への移動によって形成されてきた民族である。朝鮮族の文化形成には移動と いう要素が大きく関わっており、今日では、出稼ぎによる韓国と中国の往来が頻繁でありその影響も大きい。本報告は、朝鮮族の婚姻儀礼の変化と その要因について報告し、朝鮮族が直面した他民族の存在や環境の変化にどのように適応し、文化要素の選別を行ってきたのかを明らかにする試み である。

<休憩 14:45~15:00>

(3)高橋史弥さん(三笠市立博物館)
「三笠市における葬送習俗の変容」
 三笠市の葬送習俗の変容を、社会状況を踏まえながら確認する。本発表では、葬送習俗と一定の関係があると考えられる要素で、死亡場所、葬具 作りの担当、湯灌・入棺の担当と方法、火葬場や墓地への遺体の運搬方法、通夜や葬儀の場所、遺体の処理、埋葬・埋骨場所及び、葬儀に出される 料理とその担当の変化の時期と原因について追跡してみた。その結果、これらの要素の変化は、全国的、あるいは三笠市の社会状況の変化と関わり があることが確認できた。

(4)岩崎まさみさん(北海学園大学)
「応用人類学につて考える:無形文化遺産保護条約の事例」
 1972年以来、ユネスコは数多くの「世界遺産」を登録・保護してきたが、その登録件数は西欧諸国に偏重していることは知られている。これ らの諸問題を背景として、2003年10月に無形文化遺産保護条約が採択され、儀礼や祭り、舞踊などの無形の文化財を保護する世界的枠組みが 出来上がった。それから10年が経過し、批准国の間では、本条約の運用において文化人類学的知見が重要な役割を果たす事が意識され始めてい る。本報告では、文化人類学の実践的場としての無形文化保護条約、さらに条約運用に見られる諸課題を検証する。

■開催日時:2013年7月7日(日)16:25~17:00

■会 場:北海学園大学 豊平キャンパス 7号館 D31教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地下鉄東豊線「学園前」駅にて下車。 3番出口直結)
   *今回の会場は北海道大学ではありません。ご注意ください。
■総 会(16:25~17:00)

議題(予定)
・2012年度決算案、2013年度予算案
・会長、役員の改選

・学会賞の表彰



 議事録



2013年度総会の記録

日 時:2013年7月7日(日)16:25~17:00
場 所:北海学園大学7号館 D31教室

1.学会奨励賞の決定報告と表彰式
2012年度奨励賞を滝口良氏に授与することとしたことが報告され、推薦者の平田昌弘氏による推薦理由の説明のあと、津曲会長から、表彰状と副賞が授与された。続いて本人から受賞の挨拶があった。今後もコンスタントに受賞者が出るよう、会員への呼びかけが行われた。

2.2012年度決算および2013年度予算案について
会計担当野口委員から説明があり、原案どおり了承された。

3.本年度第2回研究会について
次回研究会を道立北方民族博物館(網走市)で、2013年10月26日(土)午後~27日(日)午前に行う予定であることが報告され、積極的な参加と研究発表申し込みが呼びかけられた。

4.役員改選について
 新会長を岩崎まさみ氏、事務局担当を手塚薫氏とする新体制が提案され、承認された。岩崎新会長、津曲前会長からそれぞれ挨拶があった。

■開催日時:2012年11月11日(日)13:00~17:15

■会場:北海学園大学 豊平キャンパス 6号棟 C30番教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地下鉄東豊線「学園前」駅にて下車。3番出口直結)
http://hgu.jp/access/
*今回の会場は北海道大学ではありませ ん。ご注意ください。

■研究会1(13:00~15:00)
13:00~13:30
(1)周菲菲さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「反日感情と日本の観光イメージ―訪日中国人観光者を中心に―」
 今世紀の初めから発足された「観光立国」を過去3年間の日中観光市場で振り返ると、2011の東日本大震災により引き起こされた「風評 被害」と、2010年9月に発生した漁船衝突事件と、9月に発生した釣魚島の「国有化」といった情勢を受け、日本の観光イメージに思わぬ 揺れが生じつつある。揺れと「反日感情」との間に、どういうつながりがあるのか。こういう「揺れ」を通じて、どういう新たな関係性が生み 出されるか。本発表では、「反日感情」とイメージの揺れの関係性のメカニズムを読み解いていく。

13:30~14:00
(2)石井智美さん(酪農学園大学)・小宮山博さん(国際農林水産業研究センター)・ラブダンスレン・チャンツアルドラムさん(韓国全北 大学)
「内陸アジアの乳酒の現状と消費」
 ヒトは植物性の素材を糖源として酒を造ってきた。しかし遊牧民は、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダなどの乳から、ドブロク状の乳酒、さらに は自家で蒸留し蒸留酒をつくってきた。その飲用には酒という致酔飲料への嗜好性のほか、重要な民族的な健康飲料としての役割があった。 21世紀に入り遊牧生活が大きく変貌する中、伝統的な発酵乳酒の飲用現状と意識について報告する。

14:00~14:30
(3)川上絢子さん(酪農学園大学)・石井智美さん(酪農学園大学)
「日本人のシカ肉に対する意識」
 今日、我が国で食用肉と言うとウシ、ブタ、トリが挙げられる。しかし明治以前はシカ、イノシシだった。シカは殺生禁止令をはじめ、生類 憐みの令でも例外として食べられてきた。北海道では近年、エゾシカが増え農業被害や事故が増大して社会的な問題になっている。エゾシカを 資源として活用する方法が模索される中で、シカ肉の食用と意識について調査した。

14:30~15:00
(4)山本香織さん(酪農学園大学)・泰泉寺さくらさん(酪農学園大学)・石井智美さん(酪農学園大学)
「パラグアイにおけるマテ茶の飲用」
 茶は様々な地域で栽培され、独自の製法によって特有の味と、香りを持つ嗜好飲料である。飲用にはリラックス効果があるなど、世界各地で 日常的に好まれている。パラグアイでは年代を問わずマテ茶を愛飲している。その飲用方法は冷水抽出で、茶葉の消費が多く、共にマテ茶を飲 むことが重要なコミュニケーション手段なのである。日本でもマテ茶が販売されているが、マテ茶の歴史と飲用について報告する。

<15:00~15:15 休憩>

■研究会2(15:15~17:15)
15:15~15:45
(5)中村尚弘さん(Mount Allison University, CANADA)
「先住民コミュニティにおける参与型アクション・リサーチの批判的検討:平取町二風谷を事例に」
近年、先住民研究において、参与型アクション・リサーチ(PAR)の重要性が主張されてきた。PARは、研究者が研究者のための知識生産 を目的とする従来型の研究とは異なり、先住民の研究プロセスへの参加と研究成果の共有、さらには先住民コミュニティの積極的な変革をも目 的とする。本発表では、2000年代初頭より平取町二風谷で行われてきた各種のアイヌ文化促進事業を事例に、PARの先住民コミュニティ における展開の妥当性を検討する。

(6)~(8)特別セッション《北東ユーラシア地域のライフヒストリー》
15:45~16:15
(6)永山ゆかりさん(北海道大学スラブ研究センター共同研究員)
「語りから見たカムチャッカのアリュートル民族の文化継承」
 社会主義圏における民族政策の研究は法制度にかんするものが主流であり、個人の、とくに先住民の体験についてはほとんど報告されていな い。本発表ではカムチャッカの先住民であるアリュートル民族に焦点をあて、1930年代以降急激に進んだロシア化の中で、また1950年 代以降に進んだ寄宿制度による親世代との断絶を乗り越えて、固有の文化をどのように継承・実践してきたのか、ある文化伝承者の語りを中心 に報告する。

16:15~16:45
(7)丹菊逸治さん(北海道大学アイヌ・先住民研究センター)
「ニヴフの言語・口承文芸調査時に採録された『生活体験の語り』」
 言語・口承文芸調査の際に同時に採録される「生活体験などの思い出話」も、語り手にとっては意味を持って語られたものである。特にいわ ゆる「消滅の危機に瀕した言語」の場合には、改めて別の研究者によって生活体験にかんする聞き取り調査が専門的におこなわれるとは限らな い。本発表ではそういった「主たる調査目的から外れた語りの記録」について、ニヴフ語・ニヴフ口承文芸調査の例から考察してみたい。

16:45~17:15
(8)滝口良さん(北星学園大学非常勤講師)
「社会主義体制下のモンゴルにおける個人商の活動:ポスト社会主義国におけるインタビュー・データの利用可能性について」
 本発表では、ポスト社会主義国において、「社会主義時代という過去」に対する個人的体験や記憶が有する資料的価値の検討を目的とする。 具体的な事例として、社会主義体制下のモンゴルにおいて非合法な個人商を営んでいた一人の女性からのインタビュー・データをとりあげる。 このデータの検討を通じて、社会主義時代の記憶をめぐる個人の「語り」が、公式の歴史とは異なる社会主義体制下の日常生活の一側面を照ら しだす重要な資料となることを示す。

*終了後、懇親会を予定しています。