日頃より、北海道民族学会の活動にご支援、ご協力をいただき誠にありがとうございます。
2025年度第2回研究会につきまして、下記の日時・会場で行うこととなりました。
多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。

■開催日時:
2025年10月25日(土)
13:00~17:00 研究会

10月26日(日)
 9:30~11:30 エクスカーション(北網圏北見文化センター、ピアソン記念館、ハッカ記念館)


■主催:北海道民族学会・北見市教育委員会

■会場:北網圏北見文化センター・講座室(〒090-0015 北見市公園町1番地)
https://hokumouken.com/

【プログラム】
[10月25日(土)]
□研究会(13:00-17:00)
■開会あいさつ
北海道民族学会  平田昌弘会長
北網圏北見文化センター 中原一人館長

■特別講演(13:05~14:00)
「常呂川流域の遺跡と歴史ー旧石器時代からアイヌ文化期までー」
講師:山田哲さん(ところ遺跡の森所長)

■研究発表(14:10~17:00)
(1)倉本 優 さん(北海道立北方民族博物館)(14:10-14:40)
「北方民族の弓をめぐる課題について」
弓はオセアニア一部地域を除いて世界中でみられ、北方民族においても存在する。
棒状弓幹とそれに張る弦が基本構成で、付随する道具も多様である。弓幹の素材が1つの単純弓と、複数素材の合成弓に大別することができる。この違いは素材
の数や組み合わせに留まらず、形状にも影響を与え、弓の性能にも関係する。さらに弓は狩猟だけでなく、儀式やジェンダーにも関わる。本発表では北方民族文
化における弓の評価を試みる。

(2)谷口 生貴斗 さん(筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院博士前期課程)(14:40-15:10)
「イエの歴史との能動的な関わり ―余市町豊丘町における祖先の移住をめぐる歴史実践から―」
本発表は、余市町豊丘町に入植した移住者の子孫における歴史実践を事例として、民俗学における北海道移住者研究の新たな視座を提示することを目的とする。
従来、北海道移住者に関連した諸研究は、生活文化の形がいかに変化してきたのかを、移住前の母村との比較から明らかにしようとする研究が中心であった。それ
ら生活文化を保持する人々の、祖先の歴史や移住への眼差しについて分析する試みを通して、現代の北海道に生きる多数の移住者の子孫たちを、いかに民俗学が
取り扱えるのか検討したい。

(3)シン ウォンジさん(国立アイヌ民族博物館)(15:10-15:40
「17世紀蝦夷地に漂着した朝鮮人所持蝦夷錦の再考―朝鮮由来の可能性についての検討」
1696年蝦夷地に8人の朝鮮人が漂着した事件をめぐって、松前藩が作成した所持品目録には「地龍紋茶色」の衣装が記載されている。この衣装については、日本
産・中国産・朝鮮産の可能性が指摘されており、先行研究において、サンタン交易を通じてもたらされた中国製絹織物「蝦夷錦」であった可能性が高いとされて
いる。本発表では、漂流民自身による持込の可能性を、当時の朝鮮と清朝との関係および関連史料から検討し、朝鮮からの持込が事実上不可能であったことを明
らかにすることで、この衣装を蝦夷錦とみなす根拠を強化する。

〈休憩〉

(4)梅木 佳代 さん(北海道大学大学院文学研究院 博物館学研究室)
(16:00-16:30)
「北海道アイヌによるオオカミ飼育」
明治期以前、北海道アイヌはエゾオオカミ(Canis lupus hattai) を飼育することがあったとされ、先行研究には旭川・北見周辺で飼育型の送り儀礼がみられた
旨の記述も存在するが、いずれも情報源が不詳であるために実態が不明確である。
本発表では北海道アイヌのオオカミ飼育に関する記録を集約し、事例が存在した時期と地域を明確化したうえで、飼育の形態と目的について検討する。

(5)日下 稜 さん(北海道立北方民族博物館)(16:30-17:00)
「冒険家植村直己の北グリーンランドにおける犬ぞり習得訓練」
1972年9月植村直己は、犬ぞりの技術を習得するため北グリーンランドの村、シオラパルクを訪れた。犬ぞり訓練の様子は本人の著書などにも記述が見られるが、
植村と同居生活をしていた大島育雄が記した日記や手紙、写真には、さらに詳しくその様子が記録されていた。これらの資料により、毛皮衣服や釣りの仕掛けな
ど、犬ぞりに必要な装備を現地で調達する様子や、飼いイヌに噛みつかれるなどの苦労が明らかになった。

※上記の時刻は目安です。
発表時間は30分(発表20分、質疑10分)とし、進行状況に応じて適宜休憩を入れ
ることとします。


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北海道民族学会事務局(中田)
〒093-0042 網走市字潮見309-1
北海道立北方民族博物館 気付