日頃より、北海道民族学会の活動にご支援、ご協力をいただき誠にありがとうございます。2023年度 第1回研究会・総会を下記の日時・会場・プログラムで行います。

 多くの会員の皆様のご参加をお待ちしております。←終了しました。

■開催日時: 2023年6月11日(日) 13:00~17:00(予定)

■会場   北海道科学大学 E棟(中央棟) 3階 303号室

      〒006-8585 札幌市手稲区前田7条15丁目4番1号

       会場地図 https://www.hus.ac.jp/about/facility/building-e/

アクセス https://www.hus.ac.jp/access/

・JR手稲駅北口から:JRバス利用、バス停「北海道科学大学」で下車(約9分)、または徒歩約25分

・地下鉄宮の沢駅から:JRバス利用、バス停「北海道科学大学」で下車(約25分)

・自家用車での来場可(無料駐車場あり)

■研究会(13:00-16:10)

開会あいさつ   北海道民族学会 平田昌弘会長

研究発表

(1)中村香音さん(北海道大学大学院文学院/博士後期課程)(13:05-13:35)

「自然写真の関係論:北海道における野生鳥獣の撮影現場を事例に」

 自然写真は依然として撮る「人間」と撮られる「自然」という二項対立式的な関係の中で捉えられてきた。そこで、ティム・インゴルドによる存在の関係論の視座を通して、「撮る・撮られる」の関係性を越えた自然写真を模索していきたい。本発表では、自然写真の中でも北海道における野生鳥獣の撮影現場の事例から、写真撮影がいかに諸存在によって作り上げられているのかを示しつつ、狭義的な自然写真の在り方を問い直すことを目指していく。

(2)片桐尉晶さん((有)風土計画舎)(13:35-14:05)

「民族誌からのデザイン発想」

 文化人類学の知見を景観デザインの発想に応用する観点から、民族誌データの活用法を提案する。文化研究において個々による形態表現の発想は文化の反映とされがちだった。本研究ではデザイナー自身が民族誌データを活用してリファレンス・システム構築した上でデザインを行う。この手法ではものづくりにおいて文化の反映と個々人の独創を両立させたデザインが可能になることを解説する。

(3)山中芙貴さん(14:05-14:35)

「アイヌ文化における怪談としての妖刀伝承―抜身の刀から人食い刀まで―」

 本研究は、アイヌの昔話の中から「イペタㇺ」に関する説話を集め、比較検討したものである。イペタㇺは日本語で「食べる・刀=人食い刀」などと訳されるが、元は抜身の刀を指す語であった。しかし道内の様々な地域で「イペタㇺ=人食い刀」の説話があり、イペタㇺは単なる刀ではなく恐怖の象徴として語られている。そこで人食い刀の説話を和人でいうところの「怪談」として捉えることで、人食い刀の説話が語られるようになった背景の推察を試みた。

〈休憩〉(14:35-14:45)

(4)是澤櫻子さん(国立アイヌ民族博物館)(14:45-15:15)

「20世紀前半の樺太先住民族のコレクション形成史における石田収蔵資料の位置づけについて」

 石田収蔵(1879-1940)は、1907年に東京帝国大学人類学教室の坪井正五郎の樺太調査に写真係として同行したものを含め、生涯で計5回の樺太調査を行った。数カ月ほど現地に滞在しながらスケッチや写真機材による記録を行う手法は、フィールドワークと呼ばれる調査技法の先駆けとも言える。しかし、まとまった成果を世に出す前に逝去したため、その功績が検討されはじめたのは近年のことであった。本発表は、石田の資料に関する既存研究や未刊行の野帳資料等の整理、同時代のロシアの研究者との比較を通して、石田の調査記録が樺太先住民族のコレクション形成史において持つ意義を考察することを目的とする。

(5)北原モコットゥナシさん(北海道大学アイヌ・先住民研究センター)、山田チケンキオさん(ウポポイ(民族共生象徴空間))、山道ムカㇻさん(ウポポイ(民族共生象徴空間))(15:15-15:45)

「ウポポイにおける文化復興-展示資料の復元的製作」

 アヌココㇿアイヌイコロマケンル(国立アイヌ民族博物館)の常設展示には、樺太アイヌがクマの霊送りの際にクマを繋いだ装飾的な杭、およびクマ用装飾を身に付けたヒグマのはく製が展示されている。これは、民族誌に記された情報や博物館資料の観察を経て復元的に製作されたたもので、アイヌ文化復興の要としてのウポポイを象徴する展示と言える。本発表では製作にあたって収集した情報の概要と、作業を通じて得た知見を報告する。

(6)中村尚弘さん(南太平洋大学)(15:45-16:15)

「オンラインレビューを用いた国立アイヌ民族博物館の常設展示評価」

 展示を通じた一般観客教育は、博物館の重要な役割の一つである。先住民族展示においては、近年展示の共同制作が標準となってきており、2020年に開館した国立アイヌ民族博物館もその一例である。しかし、国立アメリカインディアン博物館のように、「先住民族からの視点」による展示が一般観客には「難解」で、議論となることもある。本発表では、国立アイヌ民族博物館常設展示の一般観客教育効果を、オンラインレビュー(グーグルおよびトリップアドバイザー)のコメントをつうじて計量・言説分析する。

※上記の時刻は目安です。

※発表時間は30分(発表20分、質疑10分)とし、進行状況に応じて適宜休憩を入れることとします。

〈休憩〉(16:15-16:25)

■総会・学会賞表彰式(16:25~17:00)

・総会:2022年度決算報告、2023年度予算案 ほか

・学会賞受賞者発表・表彰式

以上

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〒093-0042 網走市字潮見309-1
北海道立北方民族博物館 気付
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