■開催日時:2014年11月15日(土)、16日(日)
■会 場:帯 広百年記念館 2号室 (北海道帯広市緑ヶ丘2番地 Tel.0155-24-5352)
■研究会1日目 11月15日(土)13:00~16:50
・13:00~14:00 帯広百年記念館見学 (13:00までに企画展入口に集合)
平成26年度アイヌ工芸品展・企画展「アイヌの工芸-東北のコレクションを中心に-」および「常設展示室」の見学(帯広百年記念館職員の 解説があります。企画展の観覧は無料です)
・14:30~16:50 第2回研究会研究発表
(1) 西村幹也(NPO法人北方アジア文化交流センターしゃがぁ)
「カザフ人の乳製品 -民族的知識へのアプローチ-モンゴル国バヤンウルギーの事例-」
乳製品に関して、その製造系列を技術学的に述べたものは数多く存在する。それらは食料としての乳製品の種類、製造方法に関して述べられ るが、その乳製品と当事者たちの関係を問題にすることは少ない。本発表では、該当文化の語彙が民族的知識を反映している可能性があるとい う予想を元に、カザフ人が乳製品をどのように考え、感じながら利用しているかを、語彙や彼らの言説を可能な限り彼ら的な視点から分析、考察してみようと思う。
(2) 山田敦士(日本医療大学)
「研究者にとっての表記と話者にとっての表記-ワ族のリテラシー調査から-」
中国雲南省に居住するワ族は伝統的な表記法をもたない民族集団である。20世紀になり、伝道のためのラテン文字表記法、中国政府による ラテン文字表記法(正書法)が相次いで導入され、今日に至っている。本発表では、両表記法に対するリテラシーの状況調査および言語学的分 析から、表記法に対する研究者と話者の立場、さらに「表記する」ということ自体に対する認識の違いについて考察する。
<休憩 15:30~15:50>
(3) 足立スサーナ(酪農学園大学、JICA日系研修員)・石井智美(酪農学園大学)
「アルゼンチンのSUSHIと日本食」
アルゼンチンは移民が多く、日系人は約4万人である。アルゼンチンでは今日、欧米同様、生魚をにぎりの上に載せたSUSHIが流行し、 SUSHIイコール日本食と思われている。日系人社会では、各家庭で伝えてきた日本の味を大切にしてきた。SUSHIとなる魚も脂の多い ものが好まれ、日本とは異なっている。今後SUSHIを介し和食への関心が高まると思われる。そんなアルゼンチンの日本食について報告す る。
(4) 梅木佳代(北海道大学大学院文学研究科)
「絶滅した『日本の野生動物』としてのエゾオオカミをめぐる位置付けと言説の変遷」
北海道にかつて生息していたエゾオオカミ(Canis lupus hattai)は明治時代に絶滅した。「絶滅した日本の野生動物」としてのその存在は、これまで100年以上に渡ってさまざまな関心の対象とされてきた。本発表では、明治 時代以来の日本国内で発行された資料を中心に、エゾオオカミに関わる言説の内容を時代を追って確認する。さらに、北海道のエゾオオカミ は、本州以南に生息した「ニホンオオカミ」を比定するための存在としての位置づけに置かれてきたことを明らかにする。
■研究会2日目 11月16日(日)10:00~12:00
・特別企画 「音楽ってなあに ~楽器の文化あれこれ鼎談~」
主 催:北海道民族学会 / 共 催:帯広百年記念館
<鼎談者>
枡谷隆男(ますや・たかお) 北海道立札幌拓北高等学校教諭
荏原小百合(えはら・さゆり)北海道大学大学院文学研究科専門研究員、札幌大谷大学芸術学部非常勤講師
荒山千恵(あらやま・ちえ) いしかり砂丘の風資料館学芸員
<司会進行>
甲地利恵(こうち・りえ)北海道立アイヌ民族文化研究センター研究課長
<概要>
会員である音楽研究者3名が一堂に会し、それぞれが研究する楽器やそれを生み出した文化について、また研究の課題や展望などについて、 気軽に自由に話し合う、北海道民族学会にとって初の試み。
実演等も交えての、音楽文化研究の最先端をゆく、とことんコアなおしゃべりを、ご一緒にお楽しみください。