■開催日時・会場

日時: 2008年7月13日(日)16:30ころより(研究会終了後)
会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)309教室

   (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)



 議事録



1.2007年度事業報告および決算報告

2007年度事業報告

(1) 研究会・総会の開催(詳細は会誌4号【通信】欄参照)
① 第1回研究会・総会
 2007年 7月 7日(土) 研究会14:00~16:30、総会16:30~17:30 北海道大学
 研究発表4件
 総会:2006年度事業報告・決算報告、2007年度事業計画・予算案、役員改選など
② 第2回研究会
 2007年 12月 16日(日) 14:00~15:40 北海道大学
 研究発表3件

(2) 講演会等の開催(詳細は会誌4号【講演会報告】欄参照)
① 2007年10月21日(日)北海道大学 佐々木史郎氏講演会 (日本文化人類学会北海道地区懇談会、北大文学研究科北方研究教育センターとの共催)
② 2007年12月16日(日)北海道大学 枡谷隆男氏講演会 (日本文化人類学会北海道地区懇談会との共催)
③ 2008年1月29日(火)北海道大学 A. カンチュガ氏講演会 (北大文学研究科北方研究教育センターとの共催、北大アイヌ・先住民研究センター後援)
④ 2008年3月29日(土)北海道大学 ワークショップ「医療人類学の近未来を語る」 (日本文化人類学会北海道地区懇談会との共催)

(3) 会誌第4号の刊行(2008年3月刊行、102ページ)
論文3、研究ノート3、書評・紹介2

(4) シンポジウム等後援
① 第22回北方民族文化シンポジウム(網走市:11月3,4日)
② 日本文化人類学会 平成19年度「修士論文・博士論文発表会」(日本文化人類学会北海道地区懇談会主催、北海道民族学会後援)

(5) ホームページ更新
月平均2回ほど更新。2007年7月から現在までのアクセス数約1500件(のべ4300件)

(6) 新規入会5名

(7) 名簿の刊行(2007年度現在会員総数80名)
2007年度決算報告→承認

2.2008年度事業計画および予算案

2008年度事業計画

(1) 総会の開催(第1回研究会と同日開催) 

(2) 研究会の開催(2回:7月、12月)

(3) 講演会等の主催/共催/後援(3~4回、日本文化人類学会北海道地区研究懇談会の後援を含む←従来の共催から変更)

(4)『北海道民族学』第5号の刊行(11月末日エントリー締切、12月末日原稿締切)

2008年度予算案→承認

■開催日時・会場

日時: 2008年7月13日(日)13:30~
会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)309教室
   (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■プログラム
<研究会>
(1)13:30-14:00
高泉 拓 氏(北海道大学)
「暴力がいかに正当化されるか―ある発砲の正当性とアメリカ「銃文化」」
暴力がいかに正当化されるか」をある発砲事件(服部君事件)の刑事裁判の論議を通じて考察する。資料として公判資料を、方法論として実践論、エスノメソドロジーを用いる。陪審裁判の中で、検察側は被告の発砲を「合理的」でないでないと糾弾する一方、弁護側は発砲者と被害者を「我々/よそもの」の枠組みで論じつつ、銃(を用いる実践)を地域共同体の中に位置づけた。この事例を通じ、銃やその暴力の「正当性」、アメリカ「銃文化」の様態を考察する。

(2)14:00-14:30
スーディ K 和代氏(札幌市立大学)
「沖家室島在住高齢者のライフスタイルと健康度、及び支え合いの考察 」
島民196人で日本最高の高齢者人口74%(2006年)、平均年齢68.3歳(全国平均:43.4歳)の高齢者の島、沖家室島の高齢者は自立度が高く、実態調査(計測、ライフスタイル インタビュー等)の結果、高血圧症は比較対象地と比べて有意に低い(p=0.007)などが明らかになったが、他に二つの特徴がある:
①この島は明治当初からハワイ州を中心とする海外へ移民を多く送り出したが、現在でもそれら移民の子孫と島民が強く繋がっており、ユニークな交流関係が持続されている。
②島民同士の支え合いの仕組みにあり、それにより高齢者が島で生活の持続が可能になっている。限界集落の定義に当てはまるこの島の高齢島民が支え合う仕組み(文化)と島民の高い自立度の関連を考察する。

(3)14:30-15:00
福岡 イト子氏(元旭川竜谷高等学校教諭・郷土部顧問)
「高校生に何ができるのか-旭川竜谷高等学校郷土部『上川アイヌの研究』40年記念復刻刊行をめぐって-」
”滅びゆくアイヌ民族”といわれていた1960年代、高校生に何ができるのか。身近にアイヌの古老たちが、伝統文化を確かに伝承し誇り高く生きている。何としてでもアイヌ文化を後世に残したいとの意気込みが時を超え、40年記念復刻刊行に至った。聞き取り調査と丁寧な手書きの図版は、現在では貴重な資料として小学校総合学習に、ひいては北海道教育大学教育学部旭川校・小樽市立小学校教諭等協力、小学生用「アイヌ語教科書」発刊。副教材作成中であるが、利用状況の今日的課題を提起し報告とする。

<休憩>
15:00-15:15

(4)15:15-15:45
小坂 みゆき氏(北海道大学)
「中国朝鮮族における年中行事の変容 」
中国の少数民族である中国朝鮮族の伝統的行事(年中行事)を取り上げ、現地での調査をもとに、その中で変化しあるいは廃れたものと現在なお維持されているものがあることを報告する。変化したり廃れたりするものについてはその要因としてどのようなものがあるか、維持されているものについては何故それが維持されてきたか、社会環境・経済事情の変化などもふまえてその理由を検討した結果について報告する。

(5)15:45-16:15
Yayuc Napay(ヤユツ ナパイ)氏(京都大学)
「原住民部落における観光事業と伝統文化教育の連結――司馬 庫斯を例として」
1980年代以降、台湾では観光事業が発展し、原住民が居住している地区 は次々と観光地となってきた。「原住民観光」という潮流では、伝統文化が部落発展の最も重要な要素 であり、それを資源として、観光活動と連携して部落を発展させる。そこでは経済的側面だけではなく、教育実践も重視されている。報告者は観光事業と教育のかかわりを中心に、1つの部落を例にして、 具体的なケーススタディを通じて考察する。

 

■開催日時・会場
  日時: 2007年7月7日(土)14:00~17:30
  会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
       (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■総会 16:30~17:30
   2006年度決算報告、2007年度予算案とも、承認されました。



 議事録



2006(平成18)年度事業報告

     (詳細は『北海道民族学』第3号参照)

1.研究会・総会の開催
第1回研究会・総会 2006年7月9日(日)北大
研究発表5件
総会:会則改正など

第2回研究会 2006年12月10日(日)北大
研究発表3件

2.講演会の開催(いずれも日本文化人類学会北海道地区研究懇談会との共催)
第1回 2006年10月1日(日)北大 池谷和信(民博)
第2回 2006年12月10日(日)北大 豊田由貴夫(立教大)
第3回 2007年2月17日(土)北大 三浦正雄

→研究会・講演会ともいずれも北大での開催。他機関、地方での開催も考えたい

3.会誌第3号の刊行
論文1、研究ノート5、書評・紹介3
→より積極的な投稿で、ボリュームを
 
4.会誌販売状況 全36冊(42,200円)
販売価格改定
既刊号 1,000円(会員800円)、最新号2,000円(会員1,000円)

5.シンポジウム後援
北方民族文化シンポジウム(網走市:11月4,5日)

6.ホームページ更新
月平均2回ほど更新。現在までのアクセス数2800件
→会員からの情報提供を

7.新規入会7名
*名簿刊行せず→個人情報との関係で冊子体での刊行は慎重に考えるべきか

2007(平成19)年度事業計画

1.総会の開催(第1会研究会と同日開催)
→会長・運営委員の改選、2006年度決算報告、2007年度予算提案

2.研究会の開催(2回:7月、12月)

3.講演会の開催(2~3回、日本文化人類学会北海道地区研究懇談会と共催)

4.名簿の作成
→2006年度刊行を見送ったが、今年度は刊行したい。ただし会員に情報の公開可否を照会・確認する。

5.『北海道民族学』第4号の刊行(11月末日エントリー締め切り、12月末日原稿締め切り)

■開催日時・会場

  日時: 2007年12月16日(日)14:00-15:40(引き続き16時から講演会)
  会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟309)
       (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)
■プログラム
(1)14:00-14:30
山田祥子氏(北海道大学)
「ウイルタ語口頭文芸の伝聞形式―サハリンにおける言語接触の可能性」
ウイルタ語の口頭文芸では、伝聞(人から伝え聞いた情報であること)を表わす言語形式がしばしば見られる。本発表では、第一に、このウイルタ語伝聞形式の特徴と機能について考察を述べる。第二に、近隣諸言語との比較をとおして、口頭文芸における伝聞形式がサハリンの地域的特徴であるという仮説を提示する。これにより、サハリンを中心とする地域の言語接触ないし文化接触のようすをさぐる可能性を拡げていきたい。

(2)14:35-15:05
荒山千恵氏(北海道大学)
「人類史における「音」の文化制度化の研究―日本列島出土の音響発生器具を例にして―」
人類史において、人工的な「音」を操作する行為が認められるようになるのは、どのような歴史的状況においてであろうか。本発表では、日本列島から出土した音響発生器具について取り上げ、それらがいつ、どのように出現・展開したのかを、文化制度化という点に着目し、考古学的な分析から検討する。人間と「音」との関わりについての研究は、民族音楽学、音楽史学、音楽心理学など、さまざまな分野に通じる共通テーマである。文字資料や録音技術のない過去の「音」文化をどのように再構成することができるのか、方法論的な模索も含めて発表する。

(3)15:10-15:40
中畑剛氏((株)カンペ共販北海道)
「沖縄県粟国島の水瓶(トゥージ)をめぐる文化の現在」
粟国島の水瓶トゥージは凝灰岩を彫り抜いて作ったこの島独自の民具である。川のない離島における天水を溜める道具で、飲み水や生活用水の確保のために工夫されてきたものであるが、島では門外不出といわれてきたものである。島の説話に登場するとき、水瓶は極めて民俗的な意味付けの対象となっており、水道施設、貯水施設ができた現在でも大切にされている理由もそこにある。本発表では島の人々が、現在水瓶をめぐってどのような文化を維持継承しているのかを発表するものである。

■開催日時・会場

  日時: 2007年7月7日(土)14:00~17:30
  会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
       (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■研究会プログラム 
  
◎発表1
 多賀昌江氏(札幌市立大学)
  「排泄時の消音行為と日本人女性-トイレ用擬似音装置にみる羞恥とジェンダー」
日本の公共トイレや大学、企業等の女子トイレには、排泄時の音を消音するための擬似音装置が設置されているところがある。このような、女性が排尿時の音を「恥」と認識し、トイレの水を前後2回流すことで消音する行為は、日本では江戸時代から行われてきた。そして、排泄時の音を羞恥と感じる「トイレ文化」は、現代の日本人女性における消音行為や消音装置として伝承されているだけでなく、男性にも伝播しているといわれる。この発表では、1979年に日本で開発されたトイレ用擬似音装置の開発経緯を紹介するとともに、女性のトイレでの消音行為の事例調査をもとに、日本人女性における排泄行為を規定する「トイレ文化」が、いかに継承され変容してきたかについて考察する。

◎発表2
 西村幹也氏
  「ツァータンの方位観と世界観-水平の彼方にある故郷-」
モンゴル北部タイガ地域に住むトナカイ飼育民、ツァータンの方位観、世界観に関する考察。実際の方角と彼らの認識の間にあるズレが存在している。そのズレが実生活にどのように立ち現れるかを報告し、その原因を探ってみたい。土地の呼び名や土地利用の実際の他、シャマンが儀礼時に精霊たちとの旅先に関する言説などから彼らの世界観の構成を試みたい。

◎発表3
 石井智美氏(酪農学園大学)
  「日本人の乳・乳利用意識」

乳は幼いいのちの糧であり、食べものとして広く世界中で用いられている。宗教、地域における食のタブーも、乳に関しては少ない。日本人と乳との関わりは明治以降で、飲用を主とし、世界の乳利用でも独自だ。昨年、わが国で牛乳パッシングが起きた。その論拠は乳科学から容認出来るものではないが、乳の「栄養がある」ことが
「太る」と連想され、消費も低迷している。日本人の乳、乳利用の意識について検討した。

◎発表4
 林義夫氏(医療法人社団 心友会)
  「未病予治について」
現代は「健康か病気か」で分けているが、古く2000年前の中国の医書に未病の文字 は見られ(黄帝内経)、「未病を治すを上医とし、巳病を治すを下医とする」とある。今日、未病の語は医学、医療の面から消滅し、未病を知るドクターは少ない。未病とは、健康-未病-病気である。今日はメタボリックシンドロームが宣伝され、生活習慣病の上流とされている。私は、上流以前に源流があると主張している。私は「未病予治」なる新日本語熟語を造語し、特許庁より昨年8月9日に認証されている。その詳細につき報告する。