■開催日時・会場

日時: 2012年7月8日(日) 14:30~15:00
会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
   (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■総会(14:30~15:00)



 議事録



 1.2011年度事業報告および決算報告

2011年度事業報告

(1) 研究会・総会の開催(詳細は会誌8号【通信】欄参照)
① 第1回研究会・総会
 2011年 7月 10日(日) 研究会13:30~15:30、総会15:45~16:15
  【学会設立30周年記念講演会】16:30~17:30  北海道大学
 研究発表4件
 総会:2010年度事業報告・決算報告、2011年度事業計画・予算案など
② 第2回研究会
 2011年 11月13日(日) 13:00~16:45 函館市地域交流まちづくりセンター
 講演1  研究発表5件

(2) 講演会等の開催
①北方研究教育センター講演会(本会と共催))
   「モンゴル語と満洲語の関係について」(北海道大学:8月2日)
②2011年11月13日(日)函館市地域交流まちづくりセンター 
    中村 和之氏(函館工業高等専門学校 教授) 講演会 
    (2011年度 第2回研究会における講演、詳細は会誌8号【講演会報告】欄参照)

(3) 会誌第8号の刊行(2012年3月刊行、110ページ)
論文2、研究ノート6、資料等1、書評・紹介4、

(4) シンポジウム等後援
①「サイエンスオープンカフェ ダンス・文化・ランドスケープ」
   (市立小樽文学館・美術館広場:6月12日)
②第26回北方民族文化シンポジウム 
   テーマ:『環境変化と先住民の生業文化:陸域生態系における適応』(オホーツク・文化交流センター:10月1日・2日)

(5) ホームページ更新
月平均2回ほど更新。2010年7月から現在までのアクセス数約1400件(のべ10000件)

(6) 新規入会 7名

2011年度決算報告→承認

2.2012年度事業計画および予算案

2012年度事業計画(実施済みを含む)

(1) 総会の開催(第1回研究会と同日開催) 

(2) 研究会の開催(2回:7月、11月)
第2回研究会を例年通り11月ごろに開催予定。札幌圏以外での開催が可能か、北大以外の札幌圏での開催も視野に、引き続き運営委員会で検討する。

(3) 講演会等の主催/共催/後援
①第27回北方民族文化シンポジウム(網走市、10月13,14日)の後援
  他は未定だが、随時提案・通知する。

(4)『北海道民族学』第9号の刊行(11月末日エントリー締切、12月末日原稿締切)

2012年度予算案→承認


3.総会議事

(1) 「学会賞」規定の制定と運用について
運営委員間で検討を重ねてきた規定案にそって、今年度から規定の適用を開始し、2013年度総会で第1回受賞者発表・授賞をめざす。規定は下記参照。

(2) 会誌掲載論文等の機関レポジトリ登録およびPDF版配布について
①機関レポジトリ等への登録:会誌発行後、1年を経過したものに限って認める。
②PDF配布:会誌発行後、論文・研究ノート執筆者に配布。ただしHP等への掲載・公開は①に準じる。
③投稿規定に上記の点を明記する。

(3) 会費未納者の退会について
2010年度、11年度分未納の会員(該当者2名)

(4) その他
日本文化人類学会との連携について出利葉・同評議員から報告と提案。北海道地区担当理事は高倉(東北大)。修論発表会など、連携行事の共催あるいは後援を検討する
こととした。

*************************************

北海道民族学会 学会賞規定

1.北海道民族学会は、民族学、及びその関連分野で顕著な功績のあった者に対し、各年度に学会賞の募集・選定・授与をおこなう。

2.学会賞は、北海道民族学会による若手研究者の育成と学術活動の促進・発展を目的とする。

3.学会賞には、北海道民族学会特別賞(特別賞)と北海道民族学会奨励賞(奨励賞)を定める。

4.学会賞候補者は、会員からの推薦(自推を含む)によって受け付け、運営委員会により受賞者を決定する。募集や選考の詳細については別に定める。

5.学会賞(特別賞及び奨励賞)に選考された者には、賞状ならびに記念品を授与する。

6.特別賞と奨励賞の対象は以下の通りとする。

(1) 特別賞
  a.候補者は、本会会員とし、年齢は問わない。
  b.候補者は、民族学及びその関連分野で、学術あるいは事業活動等において顕著な功績があり、現在も研究・教育・普及活動等を行っている者とする。

(2) 奨励賞
  a.候補者は、本会会員とし、応募時点での年齢が満40歳未満であること。
  b.候補者は、原則として前年度に学術雑誌等に発表した論文・資料等、またフィールドワークを含む研究活動等により、民族学及び、その関連分野において学術上の顕著な業績を上げ、将来が期待される者とする。審査に際しては、『北海道民族学』に掲載された論文・研究ノートを優先的な評価対象とする。

7.この規定は2012年度から適用する。

■開催日時・会場

   日 時: 2012年7月8日(日) 13:00~17:15       
   会 場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
         (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■研究会 (13:00~16:45)

13:00~13:30
(1)井上淳生さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「縁をつくる試み:カップル化が生むつながりと分離」
 本報告の課題は、日本の社交ダンスを事例に、「ヨコ」のつながりによって結びついた集団において構成員が互いに関係し合う様相を考察す ることである。人類学ではこれまで、集団における構成員同士の結びつきを説明する際に、血縁や地縁という「タテ」のつながりを表す概念の 他に、社縁や約縁といった「ヨコ」のつながりを表すものも使用されてきた。本報告では特に後者の縁によって結びついた集団の例として日本 の社交ダンスに注目し、「ヨコ」のつながりによって結びついた集団が日本の文脈においていかなる位置を占めるのかを検討する。

13:30~14:00
(2)小西信義さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「なぜ、おじいちゃんは雪はねがうまいのか?~採炭と造材からルーツを探る~」
 2011年・12年冬季、旧産炭地域美流渡地区で人力除雪に関してのフィールドワークを展開する中で、興味深い語りと観察結果を得た。 一つ目は、スコップの握り方に作業者の工夫が見られたこと、二つ目は、除雪道具を用いず、雪を踏み固めている人びとがいたことであった。 本発表では、この二つの除雪技術のルーツを、作業者がかつて従事していた採炭業及び造材業に関する聞き取り調査と文献資料によって確認し た内容を報告する。

14:00~14:30
(3)高泉 拓さん(札幌大学 非常勤講師)
「銃「文化」の生成:1992年日本人留学生射殺事件を通して 」
 1992年にアメリカ南部の郊外で、パーティに行こうとしていた日本人留学生が間違った家宅を訪問し、家主に射殺された。事件は、日 本、全米、地元でも関心を集め、裁判はより公的な性格を帯びていった。この後に行われた刑事裁判と民事裁判では、正当化の語り口、発砲の 正しさの基準、法的判断がまったく異なっていた。この二つの裁判の比較を通じ、社会規範や価値観に規定されたものとしてその発砲や銃文化 を捉えることができるのか、が検討される。

◇ 北海道民族学会 2012年度 総会 ◇

■開催日時・会場
   日 時: 2012年7月8日(日) 14:30~15:00
        
   会 場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
         (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)
■総会(14:30~15:00)

<15:00~15:15 休憩>

■研究会  (続き)

15:15~15:45
(4)久井貴世さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「江戸時代におけるツルと人との関係史―東日本における分布と季節移動を中心に―」
 現在の日本では、北海道、山口県、鹿児島県という限られた三地域がツル類の主な生息地となっており、北海道では周年、山口県と鹿児島県 では越冬期にみることができる。一方で、江戸時代のツル類は現在よりかなり広範な地域に分布し、季節移動の形態も多様なものであったこと が文献から確認できる。本発表では、江戸時代の「産物帳」の記載から明らかになった当時のツル類の分布と季節移動について、東日本におけ る事例を中心に報告する。

15:45~16:15
(5)梅木佳代さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「エゾオオカミをめぐる歴史と文化―北海道アイヌのオオカミ観についての再検討―」
 過去の北海道におけるエゾオオカミ(Canis lupus rex)と人との関係に対する社会的な関心は高く、これまで約100年間にわたる考察の蓄積がある。しかし、その対象とされる事例が実際に適切かどうかはこれまで検討され ていない。
 本発表では特に北海道アイヌのオオカミ観について、先行研究に見られる記述とオオカミがあらわれるアイヌ口承文芸の内容との比較を行 う。その結果から、先行研究を再検討する必要性を指摘するとともに、従来は考察対象とされてこなかったオオカミに対する認識も明らかにす る。

16:15~16:45
(6)櫻間 瑛さん(北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程)
「エスニック・シンボルとしての教会-現代ロシアにおける宗教と民族の交錯について」
 旧ソ連圏においては、ペレストロイカ以降に、民族復興と宗教的な自己意識の向上が見られた。そして、この両者はしばしば密接に関連する ものとして理解されている。
 本報告では、ムスリムが大半を占めるタタールの中で、ロシア正教を受け入れた集団とされ、近年自らを独自の民族とする運動も展開してい るクリャシェンを取り上げる。そして、彼らの教会に対する認識を通して、自身をムスリム・タタールといかに差異化しているのかを検討し、 現代ロシアにおける人々の民族的・宗教的自己認識の複雑な絡まり合いについて考察する一助としたい。

*発表者に予定されていた石原真衣さん(北海道大学大学院文学研究科博士後期課程)の「先住民族への道のり―近現代における「アイヌ民 族」の再編成に関する文化人類学的研究」は、本人の事情によりキャンセルとなりました。

■開催日時・会場

   日 時: 11月13日(日)13時~16時45分  
   会 場: 函館市地域交流ま ちづくりセンター 3F研修室
         (函館市末広町4番19号 TEL:0138-22-9700)

■研究会プログラム

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○講演 13:00~13:50

中村和之さん(函館工業高等専門学校 教授)
「13~18世紀の中国史料にみえるアイヌ」

< 休憩 13:50~14:00 >

○研究会 14:00~16:45

(1)14:00~14:30
滝口良さん(北星学園大学 非常勤講師)
「社会主義モンゴルにおける文化的人間の育成:牧民家庭における文化教育とアジテーション活動を中心に」

1950年代、モンゴル人民共和国では社会主義建設が本格化し、地方の遊牧生活は集団化と定住化によって大きく変化しようとしていた。
本発表は、再編の過程にあった地方の遊牧民家庭(ホト・アイル)に対して行われた文化教育活動をとりあげ、「文化的人間」の育成に動員さ れた知識や実践について検討する。

(2)14:30~15:00
片桐保昭さん(北海道大学大学院 文学研究科 専門研究員)
「ブラボー!喝采が生んだ広場:文化人類学から広がるまちづくりの視点」

人と人、モノが予期せぬ関わり合いを経て「文化」に至るのなら、都市空間は文化以前の境界状態を予持する領域ともいえる。この空間は公共 的な機能を明確化できぬゆえに人類学なくして作ることはできない。
本発表ではこの事例として、本年6月12日に小樽文学館美術館多目的広場で行われたサイエンスカフェ「ダンス・文化・ランドスケープ」 (本学会後援)を報告し、まちづくりへ文化人類学 を応用するための視点を提示する。

(3)15:00~15:30
山田敦士さん(北海道大学大学院 文学研究科 専門研究員)
「中国雲南省ワ族の文字使用に関する社会言語学的考察」

中国雲南省に居住するワ族は、伝統的な表記習慣のない集団である。しかし20世紀になり、二種類のローマ字表記法(宣教師式、政府式)お よび漢字がもたらされ、現在、一部に文字使用の実態が生まれている。
本発表では、フィールド調査による新しい知見に基づき、ワ族の文字使用に関わる動態を分析する。
主な論点は次の二点である。
 1)「使用領域」の観点から、文字間に棲み分けと競合の状況がみられること。
 2)文字の選択に関して、実用性(言語学的な価値)を越えた選択がなされていること。

< 休憩 15:30~15:45 >

(4)15:45~16:15
大矢京右さん(市立函館博物館 学芸員)
「市立函館博物館所蔵八雲関連アイヌ資料」 

かつて蝦夷地と呼ばれた北海道には、多くのアイヌが居住するとともに、本州から渡ってきた和人も混住していた。特に北海道南部は中世以降 漸次和人が渡道して生活基盤を固めており、伝統的な生活を営むアイヌの集落は全道的に見て少なかった地域であると言える。従って、道南地 域で収集されたことが判明しているアイヌ資料は全国的にも極めて稀で、その一部が市立函館博物館に収蔵されていることもあまり知られてい ないのが現状である。
本発表では市立函館博物館が所蔵する八雲関連アイヌ資料について、文献調査および聞き取り調査をとおして判明した事実とともに紹介する。

(5)16:15~16:45
西村幹也さん(NPO法人北方アジア文化交流センターしゃがぁ 代表)
「トナカイ乳加工の過去と現在 -トナカイ牧畜の草原化-」

モンゴルのトナカイ飼育民トバ人の乳加工および利用方法が、社会主義時代から現在に至るまでいかなる変化を経てきたかを概観し、トナカイ 利用における草原化の様子を明らかにする。

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≪ミュージアム・トーク、懇親会について≫ (12日開催)

◇ 「ミュージアム・トーク」  (当学会後援)
     講 師  児島恭子氏
     タイトル 「アイヌ文化の謎を探る-文様の神秘と呪術-」

     日 時  11月12日(土)14時~
      場 所  函 館市北方民族資料館 (函館市末広町21-7)
     参加料  300円

 * ミュージアム・トーク終了後、会員の大矢京右さんに函館市北方民族資料館の展示解説をしていただきます。ご参加の方は、会場にその ままお残り下さい。

◇ 「懇親会」

     日 時 11月12日(土)18時~20時
     会 場 蟹喰楽舞(かにくらぶ) 函館市大手町8-8 (函館国際ホテルの向かい)  ?:0138-22-1900
     会 費 5000円

■開催日時・会場

   日 時: 2011年7月10日(日) 15:45~16:15
        【学会設立30周年記念講演会】 16:30~17:30  
   会 場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
    (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)
                   

■総 会 15:45-16:15

 <休憩 16:15-16:30>

■学会設立30周年記念講演会 16:30~17:30

岡田淳子先生(本学会顧問)
「ポトラッチ儀礼の復活と効用」
米国の研究者によって進められ報告されたポトラッチ儀礼は、1884年の禁止令以来社会の表面から姿を消し、1950年を過ぎて復活して いる。1987年から始めたアラスカ南東部の現地調査で、80年ぶりという大がかりなポトラッチ儀礼に招待され出席した。当該文化圏の北 部で盛んな死を完成させる儀礼を中心に、母系の継承、養子の承認、成人の確認、親族の返礼、などが含まれる。富の平均化が図られ、コミュ ニティーのほぼ全員が出席して3日間共食し歌い踊り、結束の強化が目に見えてきた。



 議事録



 

1.2010年度事業報告および決算報告

2010年度事業報告

(1) 研究会・総会の開催(詳細は会誌7号【通信】欄参照)
① 第1回研究会・総会
 2010年 7月 11日(日) 研究会14:00~16:20、総会16:30~17:00 北海道大学
 研究発表4件
 総会:2009年度事業報告・決算報告、2010年度事業計画・予算案など
② 第2回研究会
 2010年 11月13日(土) 13:00~17:20 帯広畜産大学
 基調講演  研究発表4件

(2) 講演会等の開催(詳細は会誌7号【講演会報告】欄参照)
① 2010年 5月30日(日)北海道大学 
    窪田幸子氏(神戸大学大学院国際文化学研究科教授) 講演会 
    (北海道立北方民族博物館との共催)

(3) 会誌第7号の刊行(2011年3月刊行、100ページ)
論文1、研究ノート4、書評・紹介2、現地報告2

(4) シンポジウム等後援
①2010年度第1回日本文化人類学会(北海道地区)研究懇談会 
   「私の遍歴:人類学者への道のり」 (北海道大学: 7月24日)
②2010年度第2回日本文化人類学会(北海道地区)研究懇談会 
   「私の遍歴:人類学との関わり」 (北海道大学:10月30日)
③第25回北方民族文化シンポジウム 
   テーマ:『現代社会と先住民族文化 ― 観光、芸術から考える ②―』 (オホーツク・文化交流センター:10月16日・17日)
④北方研究教育センターフォーラム 
   「言語で巡るシベリアの旅 ― 極寒の地に暮らす人々とことば ―」 (北海道大学:2月5日)
⑤北方研究教育センター講演会
   「ロシアの中の少数言語 ― カムチャッカ先住民のパーソナルヒストリー ―」 (北海道大学:2月18日)

(5) ホームページ更新
月平均2回ほど更新。2009年7月から現在までのアクセス数約1400件(のべ8600件)

(6) 新規入会 6名

2010年度決算報告→承認


2.2011年度事業計画および予算案

役員改選 くわしくはこちらをごらんください
2011年度事業計画(実施済みを含む)

(1) 総会の開催(第1回研究会と同日開催) 

(2) 研究会の開催(2回:7月、11月)
   第2回研究会を11月12日(土)・13日(日) 函館で開催予定

(3) 講演会等の主催/共催/後援
①ハスバートル氏(中国黒竜江省満語研究所教授)講演会 (8月2日:北大)

(4)『北海道民族学』第8号の刊行(11月末日エントリー締切、12月末日原稿締切)

2011年度予算案→承認
「学会賞」の創設について(今年度から実施の方向で検討する)

■開催日時・会場

   日 時: 2011年7月10日(日) 13:30~15:30
        【学会設立30周年記念講演会】 16:30~17:30  
   会 場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟)W309教室
         (札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)

■研究会プログラム 13:30~15:30

(1)13:30-14:00
石原真衣さん(北海道大学大学院 文学研究科 修士課程)
「「土人」から「先住民」へ-現代のアイヌ民族に関する文化人類学的考察」
1982年の国連における先住民に関する作業部会の結成を契機に、国際社会というアクターが表舞台に登場した。以降、アイヌ民族の自己認 識や自己表象は、それ以前とは異なる様相を呈するようになった。現代を生きる「先住民」を理解するために、国際社会が介入する以前の彼ら の自己認識や自己表象を検討し、かつての「滅びゆく民族」や「土人」から今日の「先住民」へと変貌する過程を考察する。アイヌ民族は、 様々な社会背景や時代背景のもとで、様々なアクターの相互影響を受けて「先住民」となった。その実態について解明する。

(2)14:00-14:30
周フィフィさん(北海道大学大学院 文学研究科 博士後期課程)
「北海道の国際観光イメージの生成及び変容のメカニズムに関する文化人類学的研究-「ポスト地震時代」の来道中国人観光者の実態及び受け 入れ対策を中心に-」
3 11東日本大地震後に激減した東アジアから来道する観光者が台湾や香港を中心に回復し始めているが、ただ中国大陸からの観光者は回復の兆しは見えない。根本的な理由は、単 一化されているマスコミの報道にあると思われる。3 11以来、東日本の揺れが日本全土の揺れ、更に日本の売りであった「安全」のイメージの揺れとなっているという歪曲されたイメージが宣伝されている。そういう中、インター ネットで流通する観光経験は、観光地のイメージ再生に大きく寄与する力を持っている。そこで、インターネットを通して国境を越えて共有さ れる観光イメージに着目し、観光における風評被害の実態を文化人類学的立場から迫り、払拭対策を試みる。

(3)14:30-15:00
井上淳生さん(北海道大学大学院 文学研究科 博士後期課程)
「日本社交ダンス界における「競技化」の進展と商慣行」
本報告の課題は、日本の社交ダンス界において進められてきた「競技化」の過程を整理し、そのもとで現在いかなる商慣行が展開されているの かを明らかにすることである。日本にとって社交ダンスとは元来、西洋のものである。本報告を、社交ダンスが明治期に日本に紹介されて以 降、どのような経緯で現在のようなものとして社会に位置付いているのかを、今後、人類学的に考察するきっかけにしたい。

(4)15:00-15:30
西村幹也さん(NPO法人北方アジア文化交流センターしゃがぁ 理事長)
「トナカイ飼育民ツァータンの生活変化 -”金”に翻弄されるタイガ社会-」
2000年ごろより外国人旅行客が増え、“ツァーチンセンター”が作られるなど組織的な観光業への適応を始めたトナカイ飼養民ツァータン は経済的に徐々に豊かになっている。そして、さらに、2009年秋には金鉱山採掘が始まり、特需が生まれるなど、彼らを取り巻く経済状況 は、周囲のモンゴル人たちより恵まれはじめたように観察される。この近年の社会変化によってトナカイの飼育方法や営地選択原理などにどの ような変化が起きているのかを考察してみたいと思う。