■開催日時:2015年7月25日(土) 13:00~17:00
■会 場:北海学園大学 豊平キャンパス 7号館 D31教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地 下鉄東豊線「学園前」駅にて下車 3番出口直結)
■研究会(13:00~15:20)
(1)アン・ロスリン(北海道大学大学院文学研究科)
「時空間と博物館関係者の視座―北海道博物館テーマ2を事例として」
本発表は北海道博物館のテーマ2「アイヌ文化の世界」を事例として、二つ関連している考察を行いたいと思う。まず、北海道博物館の時空 間の位置づけをし、今年のリニューアルの内容はいかに過去の展示と未来の博物館文化と対話または対応しているかという、来館者に伝えたい アイヌ文化表象の再構築を考える。博物館とは学芸員、表象された文化(アイヌ民族)、来館者という三つの視座からできた空間である。よっ て、次の考察は展示の内容とこの三つの視座の位置づけをレヴィ=ストロースのブリコラージュという概念を使い、分析する。
(2)若林 和夫(北海道民族学会会員)
「これまでから考える、これからに必要なこと―総合的研究分野アイヌ研究における「若手育成」と「情報共有」から考える「もう一歩」」
6月に国の機関で博士論文データーベースが公開された。まだ完全とはいえないようだが若手育成の成果の一つ博論を瞬時に一覧できる。ア イヌに関する研究を一覧化するとこれまでの研究の動きのうち一定の傾向を読み取ることができる。そこで従来、研究が議論し実行してきた若 手育成の体験談と研究情報共有についての考察から振り返ることで、これからの「もう一歩」を考える。
〈休憩〉(14:00~14:20)
(3)梅木 佳代(北海道大学大学院文学研究科)
「明治時代以前の北海道における人とオオカミの関係性―札幌の事例を中心に」
北海道にかつて生息したエゾオオカミ(Canis lupus hattai)は明治時代に絶滅した。過去の北海道にお ける人とオオカミの関係性については、家畜をめぐる軋轢が存在していたことが強く意識され、エゾオオカミがもつ「畜産業上の有害獣」とし ての一面に基づいて論じられてきた。しかし、過去の人々は大型の野生動物であるエゾオオカミに対し、その存在そのものをヒグマと並ぶ脅威 として認識し、あるいは毛皮獣とみなして狩猟・利用することもあった。本発表では、江戸時代後期から明治時代の北海道における人とオオカ ミの関係性について、現在の札幌市内にあたる地域の事例を中心として考察する。
(4)矢崎 春菜(北海道大学大学院文学研究科)
「アイヌ語「ウェンカムイ(悪神)」がさすもの」
「ウェンカムイ」は、「ウェン(悪い)・カムイ(神)=悪神」のほか「化け物、魔物」を意味する名称で、日本語で「妖怪」と訳されるこ とがあるアイヌ語の一つである。本発表では、アイヌの物語を資料とし、物語中で「ウェンカムイ」がどのような実体をさしているのかをみて いくとともに、アイヌ語で「妖怪」的な存在を表す単語とどのような使い分けがあるのかを考察する。