■開催日時:2015年12月12日(土)  11:00~16:50

■会 場:酪農学園大学  C1号館202教室 (北海道江別市文京台緑町582番地)

■特別企画「世界の乳と食の話」(11:00~12:20)
パラグアイ、ブラジル、モンゴルからの留学生・研修員による各国ごとの食の特徴をスライドをまじえて紹介します。日本語でおこないます。 留学生らの手作りデザートも実際に賞味できます!

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■昼  食  12:20~13:20

■研究会(13:20~16:50)

(1)13:20~13:50  山本 香織1 石井 智美2 (1 酪農学園大学大学院  2 酪農学園大学)
「パラグアイと日本における酒の飲み方」
 日本の飲酒に関して「お神酒のあがらぬ神は無し」と言う言葉を知り、酒の飲み方、その周辺に関心を持ち、パラグアイの飲酒との比較を試 みた。パラグアイでは、飲酒は外(店舗も含む)で行われ、最初は冷えたビールを飲み、飲み手が何人いてもグラスは一つで、おつまみは基本 的に無い。飲み物を買ったヒトが注ぎ手で、集団で飲む。ゆえに日本の独酌と言う習慣が、パラクアイではない。こうした飲酒の背景について 検討した。

(2)13:50~14:20  武富 静江1 石井 智美2 (1 JICA日系研修員 2 酪農学園大学)
「ブラジル日系人の肉と魚への意識」
 ヒトが健康に暮らす上で蛋白質は重要である。日本では長い間動物性蛋白質の摂取源は川や海の魚で、肉食は表には出にくかった。そうした 日本からブラジルへ移住した世代は今日4世代となり、毎日の食に占める牛肉の割合は高い。魚の利用は淡水のテラピアをお刺身、揚げ物にす る程度だったが、SUSHIほかペルーから南米各国に広がった生魚をサラダ風刺身とする料理セビーチェが好まれ、日系人の間でも新しい魚 食料理への関心が高まっている。

<休憩> 14:20~14:35

(3)14:35~15:05  岡田 勇樹 (札幌大学大学院)
「アイヌの世界観におけるシカ」
 アイヌは多くのものに霊魂の存在を認め、カムイ(≒神)とみなす世界観を持つ。特に動物はそれらの個体そのものをカムイだと考え、クマ やシマフクロウの霊送り「iomante」のように盛大な儀式、他にはiwakte・hopunireといった簡素な霊送り儀礼を行っ た。一方、シカのように「カムイではない」といわれる存在は儀礼を行うとされる動物とは一定の距離があるとも考えられる。アイヌ研究史に おける言説および資料から、特にシカに関する世界観を再検討したい。

(4)15:05~15:35  中村 尚弘 (フィジー南太平洋大学)
「先住民族の権利と先住民族性(Indigeneity)についての一考察:フィジーの事例から」
 フィジーでは先住民族の土地の権利が憲法により保護され、先住民族の社会的関心も優先されてきた。しかし過去のクーデターでは、先住民 族の権利の侵害が主張され、インド系政権がその犠牲となった。現バイニマラマ政権は、多民族社会を提唱しインド系フィジー人からも支持を 得ているが、先住民族主義者も一定の支持を得る傾向にある。フィジーの事例は、先住民族が多数派である状況下で先住民族の権利が濫用され る危険性を示唆している。

<休憩> 15:35~15:50

(5)15:50~16:20  荒山 千恵 (いしかり砂丘の風資料館)
「ハマニンニクの利用と「テンキ」」
 イネ科の海浜植物ハマニンニクで作られた小物入れ「テンキ」は、特に千島アイヌによるものが江戸・明治期より知られてきた。本発表で は、民族資料にみる実物「テンキ」や絵図などの記録資料をとおして、ハマニンニクを利用したものづくりの特徴について考察する。

(6)16:20~16:50  甲地 利恵 (北海道博物館アイヌ民族文化研究センター)
「演奏される拍節構造―アイヌ音楽における音頭一同形式の歌を対象に―」
 伝統的なアイヌ音楽における拍節が2拍または3拍を単位とすることは先行研究でも既に指摘されているが、具体的な演奏事例に即して論じ られたものは極めて少ない。発表者は、音頭と一同の2声部に分かれて交互に歌う形式の曲を対象に、既刊の音声資料に記録された演奏を分析 する。そして、前の声部が歌った旋律を次の声部が繰り返す際の入るタイミングから測る拍節構造を中心に、歌詞の意味からみた区切り感や、 手拍子が作り出す一定の律動感との同調・拮抗といった関係性について言及する。

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