■開催日時・会場
日時: 2007年12月16日(日)14:00-15:40(引き続き16時から講演会)
会場: 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(通称:W棟309)
(札幌市北区北10条西7丁目、地下鉄南北線北12条駅下車・徒歩10分)
■プログラム
(1)14:00-14:30
山田祥子氏(北海道大学)
「ウイルタ語口頭文芸の伝聞形式―サハリンにおける言語接触の可能性」
ウイルタ語の口頭文芸では、伝聞(人から伝え聞いた情報であること)を表わす言語形式がしばしば見られる。本発表では、第一に、このウイルタ語伝聞形式の特徴と機能について考察を述べる。第二に、近隣諸言語との比較をとおして、口頭文芸における伝聞形式がサハリンの地域的特徴であるという仮説を提示する。これにより、サハリンを中心とする地域の言語接触ないし文化接触のようすをさぐる可能性を拡げていきたい。
(2)14:35-15:05
荒山千恵氏(北海道大学)
「人類史における「音」の文化制度化の研究―日本列島出土の音響発生器具を例にして―」
人類史において、人工的な「音」を操作する行為が認められるようになるのは、どのような歴史的状況においてであろうか。本発表では、日本列島から出土した音響発生器具について取り上げ、それらがいつ、どのように出現・展開したのかを、文化制度化という点に着目し、考古学的な分析から検討する。人間と「音」との関わりについての研究は、民族音楽学、音楽史学、音楽心理学など、さまざまな分野に通じる共通テーマである。文字資料や録音技術のない過去の「音」文化をどのように再構成することができるのか、方法論的な模索も含めて発表する。
(3)15:10-15:40
中畑剛氏((株)カンペ共販北海道)
「沖縄県粟国島の水瓶(トゥージ)をめぐる文化の現在」
粟国島の水瓶トゥージは凝灰岩を彫り抜いて作ったこの島独自の民具である。川のない離島における天水を溜める道具で、飲み水や生活用水の確保のために工夫されてきたものであるが、島では門外不出といわれてきたものである。島の説話に登場するとき、水瓶は極めて民俗的な意味付けの対象となっており、水道施設、貯水施設ができた現在でも大切にされている理由もそこにある。本発表では島の人々が、現在水瓶をめぐってどのような文化を維持継承しているのかを発表するものである。