■開催日時:2017年10月14日(土)~10月15日(日)
■会 場:釧路市立博物館  講堂
(〒085-0822 北海道釧路市春湖台1-7 電話:0154-41-5809)
【1日目 2017年10月14日(土)(13:30~17:00)】

■開会式 (13:30~13:40)
北海道民族学会会長からの挨拶 博物館からのご挨拶 
  戸田恭司 さん(釧路市立博物館・学芸主幹)

■特別講演 (13:40~14:40)
講師:石川 朗 さん(釧路市埋蔵文化財調査センター・埋蔵文化財主幹)
演題:「釧路のチャシ」 〈休憩〉(14:40~14:50)

■研究発表 (14:50~16:55)

(1) 周 菲菲 (南京航空航天大学)
「人とモノの日本的な関係性にみる一側面―「道具供養」についての考察を中心に―」
 長い間使い続けてきた道具がその役割を終えた時は、愛惜と感謝の念を込めて供養すべきだとする日本独自の考えから、針 供養、庖丁供養、櫛供養、帯供養など道具に対する供養が古くより行われきた。また近年に電子ペット玩具や携帯電話なども供養の対象物と なっており、サブカルチャーにおいて道具霊を取り扱うものが多くなっている。こうした慣れ親しんだ道具への供養は、日本における人とモノ の関係性の一側面を物語っている。「道具供養」という儀礼は、極めて即物的な基層民俗慣習であり、その根源には、人間が自分の手によって 作り出した道具の世界、つまり「第二の自然」への宗教的心情が潜在すると思われる。小論は、「道具供養」儀礼の成立及び変容にまつわる社 会的・宗教的背景を分析した上で、関連する中国の民俗との比較を行う。その上において、現在まで継続してきた日本的な道具観と人とモノの 関係性の特徴について改めて着眼し、道具供養の起源と機能の解明を試みた。
(2) 林美枝子 (日本医療大学)、永田志津子 (札幌大谷大学)
「地域資源を文脈とした看取り介護の影響に関する研究」
 現在、国の政策的誘導で増加傾向にあると言われている在宅看取りであるが、身近な地域資源を利用したものとならざるを得ない。地域包括ケ アシステムの構築に挑むということは、終末期の療養や死の看取りを、地域社会は、地域社会の問題として受け止めることができるのか、という問いの答えを探ることになるが、具体的な地域を限定したその資源の把握や、それがニーズにどう対応できるのかを調査分析した先行研究は まだない。本研究発表は札幌市K区の看取りにおける地域資源を調査し、看取り文化の再生やその継承、死生観の変容についての考察をまとめたものである。

(3) 北原次郎太 (北海道大学アイヌ・先住民研究センター)
「石川県輪島市に残された奉納イナウ」
 本州では2015年に石川県輪島市で、神社に奉納されたアイヌ民族のイナウが再発見されたことをかわきりに、東日本 で、次々とイナウの奉納が確認された。これらは、北前船の船頭が北海道・樺太各地から持ち帰ったものと見られ、奉納者と年月日が記されて いることから、年代が判明しているものとしては国内最古の資料に属する。本発表では、当該資料の形態的特徴を改めて整理するとともに、追跡調査によって得られた情報を報告した。

(4) 中田 篤 (北海道立北方民族博物館)
「サハ共和国におけるエベンキのトナカイ牧畜について」
 トナカイ牧畜は、ユーラシア大陸北部の広範な地域で多様な民族によって営まれてきた。その放牧管理は容易におこなわれ ているように見えるが、家畜の行動を効率的に操作するためには相応の技術が必要である。また、これらの家畜トナカイは、肉や毛皮といった畜産物以外にも様々な形で利用されている。本発表では、ロシア連邦サハ共和国におけるエベンキの事例から、家畜トナカイの放牧技術、そし て利用方法について検討した。

【1日目 2017年10月15日(日)(9:00~11:00)】
■エクスカーション
    集 合: 釧路市立博物館
     <晴天時> チャラケンケチャシ跡、モシリヤチャシ跡巡検
     <雨天時> 釧路市立博物館・釧路市埋蔵文化財調査センター見学