【2018年度 北海道民族学会第2回研究会のご案内】→ 終了しました
日頃より、北海道民族学会の活動にご支援、ご協力をいただき誠にありがとうございます。2018年度 第2回研究会を下記の日時・会場・プログラムで行います。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
■主催:北海道民族学会 共催:北海道博物館
■開催日:2018年11月24日(土)
■会場:北海道博物館 講堂(中地下階)
(〒004-0006 札幌市厚別区厚別町小野幌53-2 電話:011-898-0466)
※アクセス:次のページをご参照ください。http://www.hm.pref.hokkaido.lg.jp/guide/access/
【プログラム】
■総合展示室ほか観覧(11:15~)(所要時間約50分)
案内・解説:甲地利恵さん(北海道博物館アイヌ文化研究グループ・研究主幹)
研究会参加者を対象に、北海道博物館の案内付き展示観覧をおこないます。
観覧ご希望の方は、11:10までに研究会会場(講堂)の学会受付に集合し、観覧料をお支払いください。団体割引で一般500円・大学生200円(学生証を提示)です。ただし65歳以上の方は、年齢を確認できるものをご提示いただければ無料です。
※昼食について
・北海道博物館には、コーヒーやドーナツを販売するカフェはありますが、食堂はありません。最寄りのコンビニまで徒歩で片道約25分、近隣施設の「開拓の村」食堂まで徒歩で片道約15分かかります。
・昼食を持参した場合、食事は研究会会場(中地下階の講堂)や中2階のラウンジを利用してください。
■研究会(13:10~16:30)
○特別講演(13:15~14: 15)
「サハリンのニヴフはなぜベリー類を多用するのか? 植物相・植生から見た自然資源の利用」
講師:水島未記さん(北海道博物館自然研究グループ・学芸主幹)
一般に植物は哺乳類や魚類などと比べて種数が圧倒的に多く、地域による種構成の違いも大きくなる。そのため、植物資源利用に関わる文化を構成する諸要素は、動物資源と比較して地域や環境の違いによる影響をより大きく受けることが予想できる。講師はサハリンの北部に通ってニヴフ民族の植物利用文化について調査し、90種以上の植物の利用を確認した。北海道と似ているようで全く異なるサハリン北部で、ニヴフがどんな植物をどう利用してきたか、その特徴や、それがこの地域の自然環境のどのような要素からどのような影響を受けているのか、などについて報告する。
○研究発表(14:20~16:30)
(1)包海岩(バオ・ハイヤン)さん(内モンゴル科技大学・講師)(14:20-14:50)
「畜糞文化の商品開発に関する報告―内モンゴル自治区の事例を中心に」
本研究では、内モンゴル牧畜の畜糞文化を解明するために、畜糞の名称体系とその利用体系について調査をおこなった。畜糞名称は40個、畜糞利用は48件にも及び、畜糞文化が内モンゴル牧畜の生業を根底から支えてきた重要な文化項目であることが明らかとなった。更に、これらの畜糞文化を踏まえた上で、畜糞香や畜糞石鹸の商品開発、製造、販売を実施したので報告する。
(2)佐々木理子さん(北海学園大学法学部3年)・蟬塚咲衣さん(北海学園大学人文学部3年)・稲垣森太さん(奥尻町・学芸員)・手塚薫さん(北海学園大学人文学部・教授)(14:50-15:20)
「「記憶地図」による情報の可視化」
奥尻島では1993年に発生した北海道南西沖地震から25年が経過した。震災直後の被災地では円滑な復興支援を目的とした取り組みや調査が活発に行われる一方で、震災から復興し時間が経過した地域では、防災意識を含めた過去の記憶の風化が懸念される。
被災地の復興支援として実践されている記憶地図を用いて、住民が持つ地域の文化や過去の災害に関する聞き取り調査を、今年8月に奥尻島谷地地区においてワークショップ形式で実施した。本研究では、その実践例を報告するとともに、記憶を呼び覚まし、視覚的に表現できる可能性と課題を考察する。
〈休憩〉(15:20~15:30)
(3)田中佑実さん(北海道大学大学院文学研究科博士後期課程)(15:30-16:00)
「フィンランドのカルシッコに見る「風習/伝統」の変遷」
フィンランド東部から中部には、樹木に死者のイニシャルと生没年、十字架を刻む「風習/伝統」がある。そのような樹木はカルシッコと呼ばれ、生者と死者を分けると同時に結ぶ役割を持っていると考えらえていた。現在、カルシッコは終わった、または終わりつつある「風習/伝統」だとみなされているが、未だその「風習/伝統」を続ける人々はカルシッコを、そしてこの「風習/伝統」をどのように見ているのだろうか。本発表はフィールドワークでの情報をもとに、カルシッコを巡る「風習/伝統」の変遷について考察していく。
(4)山本晶絵さん(北海道大学大学院文学研究科修士課程)(16:00-16:30)
「近世蝦夷地におけるアイヌとシマフクロウの関係―『三国通覧図説』にみる「鷲嶋鴞ノ類ヲ養テ箭羽ヲ取也」の再検討を通して―」
シマフクロウはアイヌにとって重要なカムイである。かつては北海道各地で飼育個体を対象とした送り儀礼が行われていたが、その成立背景には不明な点が多く残る。本研究では、近世蝦夷地におけるシマフクロウの認識、価値、利用の実態について明らかにする。具体的には、江戸時代の地誌・紀行文等を対象とした文献調査を行い、特にワシ類との比較という観点から、当時のアイヌとシマフクロウの関係について再検討することを試みる。
■閉会(16:30)
※お帰りには「北海道博物館」前16:47発のバス(「森林公園駅」16:52着、「新札幌」17:05着)をご利用いただけます。
■懇親会(17:30~) 会場:新札幌駅付近を予定(詳細は当日ご案内します)