■開催日時:2013年7月7日(日)13:30~17:00
■会 場:北海学園大学 豊平キャンパス 7号館 D31教室
(札幌市豊平区旭町4丁目1-40、地下鉄東豊線「学園前」駅にて下車。 3番出口直結)
*今回の会場は北海道大学ではありません。ご注意ください。
■研究会(13:30~16:15)
(1)門田昌大さん(北海道大学大学院文学研究科 修士課程1年)
「民俗芸能の変容の諸層―北海道平取町におけるアイヌ古式舞踊を通して―」
本発表では歴史的な映像資料を基に、北海道沙流郡平取町で行われているアイヌ古式舞踊の身体部位ごとの動きを追っていく。それにより、現在 までの民俗芸能研究が捉えきれなかった民俗芸能の変容の諸層を見出し、研究方法の再検討を行う。その際、研究者が民俗芸能の動きを舞踊譜に図 示することの意味、また映像資料の研究における意味を捉え直していく。加えて今回の調査に当たり、平取町古式舞踊に関する映像資料のインデッ クスを作り参照できるようにした。
(2)小坂みゆきさん(北海道大学大学院文学研究科 専門研究員)
「朝鮮族の婚姻儀礼にみられる変化とその要因-中国吉林市の事例から-」
朝鮮族は、中国の少数民族の総人口の1%を占め、朝鮮半島から中国への移動によって形成されてきた民族である。朝鮮族の文化形成には移動と いう要素が大きく関わっており、今日では、出稼ぎによる韓国と中国の往来が頻繁でありその影響も大きい。本報告は、朝鮮族の婚姻儀礼の変化と その要因について報告し、朝鮮族が直面した他民族の存在や環境の変化にどのように適応し、文化要素の選別を行ってきたのかを明らかにする試み である。
<休憩 14:45~15:00>
(3)高橋史弥さん(三笠市立博物館)
「三笠市における葬送習俗の変容」
三笠市の葬送習俗の変容を、社会状況を踏まえながら確認する。本発表では、葬送習俗と一定の関係があると考えられる要素で、死亡場所、葬具 作りの担当、湯灌・入棺の担当と方法、火葬場や墓地への遺体の運搬方法、通夜や葬儀の場所、遺体の処理、埋葬・埋骨場所及び、葬儀に出される 料理とその担当の変化の時期と原因について追跡してみた。その結果、これらの要素の変化は、全国的、あるいは三笠市の社会状況の変化と関わり があることが確認できた。
(4)岩崎まさみさん(北海学園大学)
「応用人類学につて考える:無形文化遺産保護条約の事例」
1972年以来、ユネスコは数多くの「世界遺産」を登録・保護してきたが、その登録件数は西欧諸国に偏重していることは知られている。これ らの諸問題を背景として、2003年10月に無形文化遺産保護条約が採択され、儀礼や祭り、舞踊などの無形の文化財を保護する世界的枠組みが 出来上がった。それから10年が経過し、批准国の間では、本条約の運用において文化人類学的知見が重要な役割を果たす事が意識され始めてい る。本報告では、文化人類学の実践的場としての無形文化保護条約、さらに条約運用に見られる諸課題を検証する。