2013年7月

退任にあたって

会長 津曲敏郎

 2005年以来、4期8年に渡って会長を務めさせていただきました。この間、研究発表や会誌投稿をとおして、あるいは研究会・講演会などの活動に参加して、会を盛り上げてくださった会員の皆様にまずもって感謝申し上げます。
 岡田淳子・前会長が創刊された会誌『北海道民族学会会報』をもとに、査読制を導入して装いもあらたに再出発した『北海道民族学』誌も順調に号を重ね、本年度には節目の10号を数えます。今後ますますのレベルアップとボリュームアップを目指したいものです。
 会員および一般の方々に向けての情報発信として2005年に立ち上げたホームページも頻繁に更新を重ねることで、着実なアクセスを得ています。
 2009年度から、年に2回の研究会のうち、秋の大会は札幌を離れて地方で開催することが定着しつつあります。昨年度は2回とも札幌開催となりましたが、今年度はまた網走での開催が予定されています。
 さらに、先ごろ行われた今年の総会では、初の学会賞授賞式を執り行うことができました。特に若手を対象とした奨励賞が、本人はもとより、同世代の若い研究者の目標と励みとなることを期待します。
 在任中、こうした活動を展開できたのも、事務局や会計担当者の献身的な努力をはじめ、役員の皆様の応援や励ましが得られたからにほかなりません。もちろん会員の皆様のご理解・ご協力が大きな力となったことは言うまでもありません。会長として、大変恵まれた8年間だったと思います。今後は一役員として岩崎新会長を支えていく所存です。
 北海道民族学会のさらなる発展のため、引き続きご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

2012年7月

研究会は学会の原点

会長 津曲敏郎

 7月に行われた本年度1回目の研究会には7件の発表申し込みがあり、急な事情で取りやめとなった1件を除く6件の研究発表がありました。多岐にわたる分野からの発表が寄せられ、熱心な質疑が交わされたことは学会として大変喜ばしいことです。
 しかしながら、今回の発表者全員が北大の大学院生で占められたことは、いささか気になるところです。本会会員の少なからぬ部分を構成していることは事実ですが、広く道内各地に(一部は道外にも)会員を持つ当会としては、広く各研究機関や一般の方も含めて積極的なエントリーを期待したいものです。
 また、近年、どの学会でも院生をはじめ若手の研究者の発表が中心となる傾向があるようです。若手の登竜門ないし業績蓄積に寄与することももちろん学会の重要な役目ですが、中堅あるいは指導者的立場にある方から話を聞く機会を提供することもまた重要です。そのような意味で、各層からのバランスのとれた研究発表の場となるよう、会員の皆様の一層のご協力をお願いします。ちなみに発表者だけでなく、参加者の顔ぶれも「常連」が目立つのは、熱心さの現れでもありますが、90名に及ぶ会員の中にはご無沙汰続きの方も少なくありません。学会活動の原点としての研究会に、ぜひ足をお運びくださいますよう、お願い申し上げます。
 研究会と同日に行われた総会では、昨年以来検討を重ねてきた「学会賞」の規定が承認され、今年度から適用されることとなりました。来年度の総会では初の受賞者が出るよう、会員の皆様からの積極的な自薦・他薦をお待ちしています。