■開催日時・会場

   日時: 2009年11月7日(土)15:20-17:20
            8日(日) 9:30-12:00
   会場: 道立北方民族博物館(網走市字潮見309-1)
   特集テーマ:「映像に見る文化の諸相」

≪博物館へのアクセス≫
 博物館へはこの時期、バスの便がありません。各自でタクシーなどをご利用ください。
  (網走駅前から1600円程度)

■プログラム

<1日目 11/7(土)>
(1)15:30-16:00
渡部裕さん(北海道立北方民族博物館)
「ペレストロイカ以降のカムチャツカの先住民社会」
 ペレストロイカ以降のソ連体制崩壊、経済危機は旧ソ連の市民生活を直撃した。カムチャツカの先住民社会もそれらの大きな影響を経て、今日に至っている。本発表ではペレストロイカ以降のカムチャツカの先住民社会のおかれてきた状況について、現地における聞取りをもとに、下記にあげた政治的経済的視点から報告する。
1.ソ連体制崩壊は先住民社会になにをもたらしたか-ソホーズ・コルホーズの解体が意味するもの-
2.ロシア経済の回復とカムチャツカの先住民経済
3.プーチンの政治改革と先住民の政治的環境の変化

(2)16:00-16:30
笹倉いる美さん(北海道立北方民族博物館)
「ウイルタの映像について」
1.ウイルタの画像的記録について概要を描く。
2.昭和13(1938)年に民俗学者の宮本馨太郎氏が樺太郊外のオタスで記録した16mmフィルムについて紹介、上映を行い、他媒体記録との比較及びオタスの変化について考察する。
3.北海道立北方民族博物館が平成9(1997)年から網走で行った映像記録について紹介するとともに、博物館が映像記録を行うことの意義について考察する。

16:30-16:50<休憩>

(3)16:50-17:20
加藤絢子さん(九州大学博士後期課程)
「サハリン少数民族と国境」
 日本統治下のサハリン南部では、1925年の日ソ基本条約による国交回復以後、国境取締法(1939年)を経て、日ソ国境警備が強化されていった。今回、1930年代以降の樺太庁予算関係資料をもとに、従来具体的な内容が明らかでなかった、樺太庁によるウィルタ、ニヴフなどの少数民族の諜報活動起用について報告する。

☆ 懇親会 18:15~20:00
   会 場:温泉旅館もとよし
   会 費:5千円
 
*参加ご希望の方は10月31日(土)までに北方民族博物館・中田さんへお申し込みください:
   nakada_atsushi☆hoppohm.org (☆を@に変えてください) 
   電話 0152-45-3888 FAX0152-45-3889

<2日目 11/8(日)>
(1)9:30-10:00
中田篤さん(北海道立北方民族博物館)
「タイガ型トナカイ牧畜の多様性について」
 ユーラシア大陸北部で営まれてきたトナカイ牧畜は、自然環境やトナカイの形態、管理する群の規模や利用方法などの特徴から、大きくツンドラ型とタイガ型に二分されてきた。しかし、タイガ型と分類されているトナカイ牧畜であっても、携わる民族の文化や地域的特性、時代背景などによって、その展開は多様である。本発表では、映像資料によってタイガ型トナカイ牧畜の事例をいくつか紹介するとともに、その多様性について考察してみたい。

(2)10:00-10:30
平田昌弘さん(帯広畜産大学)
「「遊牧の終焉」:映像記録の写実性と意義」
 遊牧民の定住化が、アジア大陸全域で確実に進行している。定住化にともなって、飼養する家畜の頭数が減少し、何千年かけて蓄積してきた遊牧技術の多くが消失しようとしているのである。それは、人びとの生活にとって、まことに寂しいことであり、人類の有形・無形の文化遺産を消失してしまうことは大変残念なことである。今回の発表では、遊牧の生業項目の中心にある乳文化を取り上げて、映像記録の内包する写実性と映像アーカイブの意義について検討してみたい。

10:30-10:50<休憩>

(3)10:50-11:20
大西秀子さん・石井智美さん(酪農学園大学)
「パラグアイと日本の喫茶の比較」
 お茶は世界中で一番飲まれている嗜好飲料である。日本では煎茶をはじめ、コーヒー、紅茶を含めた喫茶が盛んで、芸術として茶道も成立している。パラグアイでは日系人社会が形成され、そこでの喫茶は、日本からの輸入緑茶をはじめ、パラグアイ産のマテ茶が中心である。日本とパラグアイの喫茶を比べると茶葉の扱い、飲用方法、道具などは異なるが、茶を飲むことで、心がほっとするなど、特殊な役割を持つ食品であることが同じであった。

(4)11:20-11:50
篠藤シルビア真弓さん・石井智美さん(酪農学園大学)
「パラグアイの食と健康観~栄養学的視点から」
 日系人の見地から両国の食と健康観の比較を試みた。日本では食品の摂取において、老若男女を問わず「健康によい」ことがその選択基準になっていた。そしてサプリメントの消費量が多かった。パラグアイでは伝統的な芋のほか、肉と各種ジュース類の摂取量が特に多く、満腹になるまで食べている。そのため、肥満が社会において問題となっている。日常的に薬草を多く利用しているが、健康に対する関心は日本のように高くはない。

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●北方民族博物館では11/7(土)の午前中より、下記の事業を行っています。
10:00-12:00
学芸員講座「サケ餃子づくり」
講師:渡部裕さん(北方民族博物館・学芸主幹)
13:30-15:00
「環オホーツクの民族音楽事情」
講師:大島稔さん(小樽商科大学・教授)、甲地利恵さん(北海道立アイヌ文化研究センター・研究員)

詳細は、北海道立北方民族博物館HPをご覧ください。