■開催日時:2013年10月26日(土)15:30~17:15 / 27日(日)10:00~11:45

■会 場:道立北方民 族博物館 講堂 (網走市字潮見309-1)

■特 集 「北の人と暮し」

■研究会1日目  10月26日(15:30~17:15)

15:30~16:00

(1)宇仁義和さん(東京農業大学)
「NHKアーカイブスの保存映像に見るアイヌと樺太先住民、そして捕鯨」
 公募研究「NHKアーカイブス学術利用トライアル研究」により、NHKが保存する未公開映像を閲覧した。アイヌは戦前の映像、斜里沖でのア ザラシやクジラの銛猟の再現、鯨祭りなどが見られ、樺太先住民は昭和9年(1934)の映画「北進日本」にオタスの様子が描かれていた。また 捕鯨では報道姿勢の変容や話者の態度など、文章からは知り得ない情報を得ることが可能であった。当日は保存映像の静止画像に加え、データベー ス検索の結果を紹介する。

16:00~16:30

(2)矢崎春菜さん(北海道大学大学院文学研究科)
「河童伝承からみるアイヌ語「ミントゥチ」と日本語「ミヅチ」の関係性」
 アイヌの口承文芸には、「ミントゥチ」と呼ばれる「河童」が登場する。この「ミントゥチ」という名称は、東北地方で河童を意味する「ミヅ チ」系の名称がアイヌ語に借用されたものと考えられている。本発表では、この「ミントゥチ」と「ミヅチ」の関係について、アイヌの河童伝承に みられる「河童」たちの名称や特徴に注目しながら、日本(和人)との類似性がみられる伝承とアイヌの独特な伝承があることを確認するととも に、そこにみられる類似性の相違から、どのような借用の可能性があるのかを考察していく

<休憩 16:30~16:45>

16:45~17:15

(3)小西信義さん(北海道大学大学院文学研究科)
「除雪具―雪かき(ジョンバ)―の道内での適応性とその製作過程」
 昭和40年代までの代表的な除雪具として、竹製の雪かき(ジョンバ)が挙げられる。氏家(1989)によると、ジョンバは主に玄関先の親雪 を簡易的に払う目的で使用され、道内乾雪の除雪に適した道具だと言われている。
 本発表では、積雪統計資料を用い、改めてジョンバの適応性について考察する。また、プラスチック製ジョンバが普及している現在、竹製ジョン バの製作過程を記録に留めるため、旭川在住の籠職人への聞き取り調査も行った。

■研究会1日目終了後、懇親会を予定しています。

☆ 懇親会 18:15~20:00
   会 場:温泉旅館もとよし
   会 費:5千円

*参加ご希望の方は10月19日(土)までに北方民族博物館・山田さんへお申し込みください:
   yamada☆hoppohm.org (☆を@に変えてください) 
   電話 0152-45-3888 FAX0152-45-3889

*研究会終了後、博物館から懇親会場まで送迎バスがあります。

*懇親会場の旅館に宿泊ご希望の方も同上・山田さんにお問い合わせ・お申し込みください。懇親会費込み(朝食付き)で1泊1万円です。ただし 男女別の相部屋となります。人数に限りがありますのでお早めに。

■研究会2日目  10月27日(10:00~11:45)

10:00~10:30

(4)田村将人さん(札幌大学)
「樺太アイヌの竪穴住居利用について―岡正雄・馬場脩の調査写真を中心に」
 20世紀初頭まで樺太アイヌは冬季に竪穴住居を利用したことが知られている。これまでの情報源は、主に絵画や民族誌などであったが、北海道 立北方民族博物館所蔵の岡正雄・馬場脩の調査写真や、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構所蔵の石田収蔵旧蔵写真などから、再検証を行 いたい。

10:30~11:00

(5)中田篤さん(北海道立北方民族博物館)
「あるオプシーナの挑戦―サハ共和国の事例より」
 社会主義時代に農業を中心とした生産活動を担ってきた集団農場・国営農場は、ソ連崩壊後の新たな社会・経済体制の下でさまざまな経営形態に 移行・再編された。本発表では、おもにサハ共和国における調査から、ソ連崩壊後に新しく創出された経営形態の一つであるオプシーナ(氏族経営 体)の1つを対象に、その成立と発展、現状を概観し、先住民が伝統的な生業活動を保持しつつ、ロシアの社会経済的環境に適応していこうとする 事例について報告する。

<休憩 11:00~11:15>

11:15~11:45

(6)山田祥子さん(北海道立北方民族博物館)
「ウイルタの暮しとことば―サハリンにおける言語の伝承と変容」
 サハリン(樺太)の先住民族ウイルタは現在、総人口 300?400 人とみられ、その多くがサハリン中部のポロナイスク市(かつての敷香)と北東部のワール村に居住している。本発表では、ウイルタ固有の言語であるウイルタ語の伝承と変容に 焦点を置き、サハリンのロシア社会のなかでウイルタの文化がどのように受け継がれているのかということについて、ウイルタ語の記述的研究と現 地調査での見聞にもとづく報告を行う。

■ 講 座 民族学と考古学学問の系譜 

日 時:2013 年10月26日(土) 13:30-15:00
会 場:北方民族博物館講堂
講 師:岡田淳子道立北方民族博物館館長(北海道民族学会顧問)
参 加:無料
主 催:道立北方民族博物館
後 援:北海道民族学会